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1日1つの「日本的!」な楽しみ


by michiru-hibi1007
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初不動                           癸未の日・旧暦12月25日

初不動                           癸未の日・旧暦12月25日_c0205840_1927166.jpg

背中に燃え盛る炎を背負い、憤怒の形相。よくよくお顔を拝すれば、口元には牙まであって、それも左右で上下逆。
右手に降魔の剣、左手には羂索という縄を持ち、いまにも、何かを切りさき、縛り上げる勢い。不動明王さんは、なかなかに恐ろしい仏さまです。

しかし、私たちを救うためにこそ怖い姿になられた。親分の大日如来さんはもちろん高貴なお顔。そこを目指す諸先輩の菩薩さんもみなさん優しい顔ばっかり。
そんなんじゃ言うこときかないばか者もいるに違いないと、密教の世界では、あえてこのように姿は怖く、心は慈悲深いかたが創られた。
だからか、なぜか、こうして赤がアクセントのわらじと吊るされたりすると、なんだか少し可愛いと思えてしまう。

写真は、深川不動尊の境内にある「わらじ守り」。お不動さんは、「足厄消除」に関する様々な願いとともに、境内の大わらじにぶら下げられています。

そして今日は、初不動。今年最初のお不動さんの縁日です。
本堂では数時間ごとに護摩が焚かれ、祈祷を受ける方で立錐の余地もなしという感じ。お賽銭箱のあたりまで立ち見が出る賑わい振りです。
参道の露天にも、境内にも平日だというのに結構な人出。
お隣の富岡八幡宮も縁日で、骨董市まで開かれているというのに、この賑わいとは雲泥の差なんです。
不思議ですね。

実は、深川のご不動さまは、江戸っ子にとっては特別な存在。
そこに理由があるのかもしれません。

江戸のスーパースター、歌舞伎役者の初代市川團十郎は、成田山新勝寺の不動明王に、わが子の誕生を祈願しました。するとご利益あらたかに2代目が誕生。
そして、お不動さまに縁あるその2代目團十郎は、舞台で、お不動さまを演じ大ヒット。
不動明王さんのポーズで見得を切った團十郎に向かって賽銭はとぶは、観たものの病気が治ると噂になるはの大人気となりました。
そうときたら、ぜひとも、本物のお不動さまだって拝みたい。
江戸っ子の中で要望がたかまりうずまき、とうとう富岡八幡宮の境内での不動明王ご開帳の運びとなりました。
今の言葉で言えば、成田山不動明王の出張特別公開。
これが、そもそもの深川不動尊のはじまりです。
これって、深川のお不動さまは江戸っ子によって勧請された?!とも言えるお話です。

深川界隈といえば、今も3代・4代続く正真正銘の江戸っ子が多い町。
だから、「雨降ろうが、槍が降ろうが、初不動と納め不動ははずせませんよ」と。これは、甘味やで相席させていただいたご婦人による弁。きれいな江戸ことばがなんか耳に心地よい。
そのまま外に出たら、江戸時代のご不動さまにワープしそうな気分です。
by michiru-hibi1007 | 2011-01-28 19:26 | 祭・縁日