1日1つの「日本的!」な楽しみ


by michiru-hibi1007

冬桜                            辛巳の日・旧暦12月23日

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11月頃、辺りの木々が色づく頃にポツリポツリと咲き始めるもんだから、一瞬「桜の狂い咲き?」と思ってしまいますが、これは「冬桜」という品種。

薄桃色の一重咲きの小さな花が、下の枝から少しずつ咲き始め、年をまたいで、寒の内の今ごろになってもずいぶん元気に可憐な花を咲かせています。
染井吉野が、バーッといっせいに咲いて、1週間ぐらいで花吹雪になってゆくのとは、対照的に、一輪一輪ゆっくり咲いて、ゆっくり散るので、華やかさはちょっと足りない気もしますが、代わりに花の時期をかなり長く楽しめます。

写真は、根津神社の境内のかたすみにひっそりと咲く冬桜。
それでも、ずいぶん花が咲いて、ちょうど今が見ごろではないかと思います。この時期、境内を抜けて先を急ぐ人々が、ふと足を止めて静かに仰ぎ見るシーン...というのにずいぶんたくさん出くわしました。
寒の内の寒さを元気に乗り切った冬桜も、例年さらに寒さを増す2月にもなると、花は散らずに木に張り付くようにしぼんでいきます。
が、その様子も実はなんとなく愛らしい。

図鑑などを紐解けば、「冬桜」は、「大島桜」と富士山や箱根山などの高山に自生する「豆桜」を掛け合わせて作られた花とされ、江戸時代の後期ごろから栽培されていたようです。

ああ、これも、江戸の植木職人の仕業ですか。

江戸時代の植木職人の技といえば、染井吉野の功績がもんくなしに筆頭ですが、こんな小さく愛らしいものを作る感性も何か非常に日本人的で好感度大です。
そして、満開の「染井吉野」にちょっと人間とは距離のある”幽玄”みたいなものを感じるとすれば、「冬桜」が持つイメージは”慕わしさ”のようなもの。何か身近にいてほっと和める種類の桜でもあります。

ところで、その図鑑によると、冬桜は、晩秋から初冬に1回開花して、さらに4月ごろにももう一度花開かせるとのこと。
さて、根津神社の冬桜は、どうだったかしら?

実は、染井吉野に始まり、八重桜に山桜と追ってゆくうち、春はついつい「冬桜」のことを忘れてがちでした。
今年は、4月も忘れずにお会いしましょう。
そして、銀杏の黄葉を背景に咲き始める頃ももちろん忘れず。

こうして冬桜の頃がいったん終わると、近くの上野公園では、寒桜、緋寒桜と咲き始め、そういえば、天神様の梅も咲く。
寒いといっても、花を追うのに忙しい季節がもうすぐそこまできています
by michiru-hibi1007 | 2011-01-26 22:15 | 植物のこと