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1日1つの「日本的!」な楽しみ


by michiru-hibi1007

寒牡丹を見に                       壬午の日・旧暦12月24日 

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「立てば芍薬、座れば牡丹」

美人の代名詞であるこの二つの花、花だけ見たのでは案外見分けが難しい。

芍薬は、根元から茎がまっすぐ伸びて、美人のがすーっと立っているかのように花がひとつ。
牡丹は枝分かれした先に花が付き、それが、楚々とした美女が座っているようなので「座れば牡丹」なんだとか。
さらに、もっと大きな違いは、「草」である芍薬は、冬には咲けないけれど、「樹」である牡丹には「冬牡丹」とか「寒牡丹」とかいう名も在って、冬にも大輪の花を咲かせる。
...ということでしょうか?

上野の東照宮のぼたん苑は、1月上旬から2月中旬ぐらいまでが寒牡丹の見ごろ。霜よけの藁囲いに包まれて咲く様子は、美人というより、初々しい雪ん子のようでもあります。
そして、ほんとは雪の日の風情がまた素晴らしく、どうせなら雪の日に訪ねようと待ち続けましたが、もう待ちきれません。ちょっと出かけてしまいました。
雪がなくても、ああ、やっぱりきれいです。
花の少ない今ごろだから、なおさらにありがたい。

さて、この寒牡丹、春に咲く牡丹と品種違いなのかと思えば、そうゆうことでもないらしい。
牡丹には、春と冬の二期咲きの性質を持つ品種が少なからずあって、このうち低温で開花した冬咲きのものが、昔より「寒牡丹」と呼ばれているんだとか。
とはいっても、そもそも牡丹は栽培の難しい花で、さらにそれを冬に咲かせるとなれば、やはり職人の技術と管理が必要。
今も昔も、その職人たちのまじめな努力が花を咲かせてきたようです。

牡丹の花は、奈良時代に唐から伝来したとされますが、「寒牡丹」を咲かせる技法はもっとさかのぼって、江戸時代に清国から渡ってきた説が有力。
その頃の江戸といえば、現代のガーデニングブームよりさらに盛んな園芸ブームがあって、この時代に一挙に増えた植木職人たちも、花樹の品種改良にしのぎをけずっていました。
花の少ない正月にあでやかな大輪の牡丹を咲かす。それはそれは、職人魂が刺激されたことでしょう。
ことに、戸外の雪の中で牡丹を鑑賞しようとするスタイルは日本オリジナルなのだそうです。

ちなみに、東照宮ぼたん苑の牡丹は、春夏に寒冷地に置いて開花を抑制し、秋に温度調整し冬に備えるという作業に丸二年を費やします。
そうして、やっと、厳寒の今ごろに咲く可憐な花。
花の少ない正月に楚々と咲き、新春の日々を牡丹にそっと祝われているようです。
by michiru-hibi1007 | 2011-01-27 10:14 | 植物のこと