1日1つの「日本的!」な楽しみ


by michiru-hibi1007

サザエさん                         乙酉の日・旧暦12月27日

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漫画家・長谷川町子さんは、1920年1月30日生まれ。
今日は、長谷川町子さんの誕生日記念です。ということで、今日は、彼女が生んだ4コマ漫画の大傑作「サザエさん」を紐解いてみましょうか。

サザエさんが誕生したのは、1946年4月、福岡の地方新聞「夕刊フクニチ」の新聞連載でした。第二次世界大戦が終わったのが1945年の8月ですから、戦後すぐから始まって、途中連載休止や掲載紙の変更、町子さんの病気休載などがあったものの、「朝日新聞」朝刊の連載最終日、1974年2月21日まで毎朝ずーっと読者を笑わせてきた。
朝の笑いは貴重。だから、これはもう金字塔的漫画です。

高度経済成長時代の子どもは、「漫画ばっかり読んでいると大人になって偉くなれないよ」とよく叱られた。しかし、わが子を叱りながら、その親世代はちゃっかり毎日サザエさんを楽しんでいたということでもありますね。

連載初期の漫画の舞台は博多だったそうですが、まもなく長谷川家が東京の桜新町に引っ越して、連載開始後は、漫画の舞台も桜新町へかわります。
今でこそ渋谷から電車ですぐの都会の真ん中ですが、当時、漫画に描かれている街はまだ空き地も残るのどかな場所。道路はまだ舗装されていない場所も多かったけど、ときどき車は通り、ぬかるみで泥はねを飛ばした。
犬は暢気に放し飼いで、野良犬も多数登場していたような気がします。
たしか、犬に追いかけられるネタってけっこうあったんじゃなかっでしょうか?

実は、手元にあるサザエさんが写真の「よりぬきサザエさん33巻」のみ。
紐解くと言っても、本日の資料はこれだけで、それでサザエさんを語るにはやや無理ありすぎです。が、それでもせっかくの誕生記念ですから、無理やりその乏しい資料から、昭和の山の手の街の様子と磯野家のライフスタイルをひろってみましょうか。

磯野家は、ご存知のとおり、縁側を持つ木造平屋造り。
暖房は、火鉢から徐々にこたつに変わりますが、33巻あたりは、まだストーブは登場しません。ただし、こたつは天板なしからありへと、徐々に機能的に変わってゆく。
ごはんは、ごはんは羽釜から電気釜に変化。冷蔵庫だって登場します。
TVまで揃いましたが、掃除は、箒にハタキにバケツに雑巾、掃除機はTVアニメでしかみたことがない。あれは、提供企業が電機メーカーだったせいでしょうね。

風呂は、木の風呂桶(沸かし方不明)からガスで沸かすタイルの風呂へ。そういえば、磯野家は最初から風呂付の家でしたでしょうか?銭湯ネタって記憶にあるようなないような...。
登場人物には、刑務所帰りの押し売りとこそ泥、空き巣ねらいがずいぶん多い。
このあたりは時代を反映しているんでしょうか。
しかし、この人たちとサザエさんがからむ、ありえない展開が秀逸です。
たとえば、せっかく磯野家に入った泥棒が、つぎつぎにやってくる集金人に遂にお金を立て替えるはめに。泥棒が、警察に被害金額を申告するというオチには大笑いしました。
そういえば、おまわりさんも頻繁に登場、今はあまり見ることのない駐在所なんかも健在です。

こんな風にサザエさん漫画は、昭和中期のライフスタイルの宝庫。実は、サザエさんのファッションもなかなかのセンスであることにいまさらながらに気づきました。
パンツスタイル→ひざ下スカート→ミニスカートとかわってゆく、細かさ。長谷川町子さんは、非常におしゃれな女性だったんじゃないかと推測されます。

作品が描かれた当時の時代は、戦後のどん底から高度経済成長期までで、もちろん、新聞連載の漫画ですから、時代背景を象徴する内容も多く散見されます。
しかし、日本がそうとう激しく変わっていった時代の、”忙しくがさつ”な雰囲気は、サザエさんワールドには皆無です。登場人物が年をとらず、カツオはいがぐり頭のままだし、ワカメはオカッパ。浪平さんはきちんと帽子をかぶって出勤するし、なにより、家族がちゃぶだいを囲んでごはんをたべる...という「絶対変わらない部分がある」工夫が、のどかで豊かな日本をいつまでも演出しつづけているようなきがします。

作者は、意識して、時代のがさがさした動きから一線を画したかったんじゃないでしょうか。

さて、唯一我が家に残っていた写真のサザエさん。
たくさんあったものを引越しなどで全部売り飛ばしたはずなのですが、今年に入ってこの33巻のみ思いがけないところから登場。
ふと読み始め、ページを繰るたび大笑い、ふーっと脱力した挙句、表紙の絵のサザエさんがお正月仕様であることに気づきました。

これって、今日の日にここでサザエさんを取り上げなさい。
という長谷川町子さんの思し召しでしょうか?
まさかね。
でも、ちょっとだけ、そう思うことにいたします。
by michiru-hibi1007 | 2011-01-30 17:27 | 記念日