日本水仙 丙戌の日・旧暦12月28日
2011年 01月 31日
日本水仙のあの芳しい香を嗅ぎたければ、まず、群生したなかに分け入り、水仙の花と視線が合うぐらいまで地べたに近づく。
そう、ちょうど写真ぐらいの視線の高さです。
そして、しばしそこでじっと待つ。
すると、忘れた頃にふとあの香りが漂ってくる。
これは、私流の日本水仙の楽しみ方ですが、実際、花の一輪一輪に顔を近づけ香りをキャッチしようとしても、不思議とそんなに香らない。
忘れた頃にふと、懐かしい幸せな記憶がふっと立ち上がるような感じにも似た穏やかな香り方をする。
それが日本水仙かと思います。
しかし、しばしそんな風にして水仙のあたりに漂っていると、今度は嗅覚が日本水仙に馴染んでくるのでしょうか?不思議と、どんな風にしていても水仙の香りが届いてくるようになってきます。
こうして、香りと親しみすぎて、立ち去りがたくなってしまいます。
水仙は、可憐というのがやっとの地味で小さな花ですが、それがぜんぜん飽きないのは、この目に見えない香りのせいもあるんじゃないか。
しかも、花の頃は、今のように寒い時期です。
それをおしても、ひとを惹きつける魅力、可愛い顔して恐るべしといった花でもあります。
日本水仙とはいっても、実は、原産ははるばる遠い地中海の沿岸なんだとか。それが、中東を越え、天竺=インドを越え中国経由で日本にたどり着いたのが、平安から室町時代のころ。最初、海の近くに野生化していったのではないかとも言われています。
ということだからなのか、日本水仙といえば、海岸近くに群生して咲く花というイメージが強い。
実際、各地の海岸沿いの町で「水仙まつり」が開催されるのもちょうど今ごろ。
特に、福井県の越前海岸の水仙は有名で、東京近県でも伊豆下田とか、房総半島の水仙ロードなどが惹かれる水仙スポットです。
足を運んでみたいけどやや遠いかなぁ...と思っていたら、葛西臨海公園でも日本水仙の群生があると聞きました。
写真は、巨大観覧車を見上げながら可憐に花咲く、水仙の群れ。
海辺ではないけれど、海風が来る、正真正銘の海岸沿いの群生。寒風の中、東京でも日本水仙たちは、けなげに可憐に咲いています。
by michiru-hibi1007
| 2011-01-31 15:55
| 花歳時記