1日1つの「日本的!」な楽しみ


by michiru-hibi1007

雛市                     甲寅(きのえとら)の日・旧暦1月26日

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早いもので、明日は弥生3月。
桃の節供ももうすぐの2月下旬の今ごろになると、かつて、京都、大阪、江戸市中の各所で雛市が立ち、いずこも夜も昼もないような賑わいを見せていたそうです。

雛市は、雛人形をはじめとした節供用品を商う専門の露天市で、江戸ならば、日本橋十軒店(じゅっけんだな)のものが規模が大きく有名でした。場所は、現在の日本橋室町3丁目付近で、ちょうど三越百貨店の前の通りにその市が立ち、道の両側のほかに、道路の真ん中にも背中合わせに露店の雛屋が立ち並んだというので、現代なら酉の市やだるま市のような感じでしょうか。
江戸の地誌『江戸名所図会』などに描かれているものを見れば、やはりそんな趣のある市だったようで、実際、売り物の値段は、熊手やだるまのように、買い手売り手双方の駆け引きで決まるというようなシステムだったそうです。

雛市は、江戸の初期元禄のころから始まり雛人形が豪華になってゆくほどに市が立つ場所も増え、明治に入っても続きました。しかし、明治6年の新暦導入の年に節供廃止令が出されたことでまず大打撃を受け、さらに新興で登場した百貨店が雛人形を扱うようになって衰退してゆきます。
現代ならば、浅草橋の問屋街でも多くの店が季節限定で雛人形を商い、それも、東京の今ごろの風物として面白い光景ですが、やはり、縁日のように賑わう露店市の楽しさにはかなわない。
雛市の存在を知ってしまえば、それが廃れてしまったのが残念に思えてしかたありません。

さて、ひな祭りが近づけば、雛市で何かもとめるように、桃の節供に縁のあるものを手に入れたくなります。
白酒、雛あられは毎年の定番。
さらに、これぞというものは無いかと、今年は、よくよく注意して街を歩き、写真の千代紙を見つけました。
谷中の江戸千代紙の老舗「いせ辰」で見つけた「江戸組立錦絵雛祭」という千代紙。 組み立ててミニチュア紙製の雛壇を作るもののようです。
江戸時代に錦絵のひとつに「立版古(たてばんこ)」という「おもちゃ絵」があって、その一種ではないかと思います。千代紙の中央の赤い四角は、緋毛氈、それを切って階段状に折り、左右の黄色い側面と張り合わせて立体にして雛壇を造ります。さらに錦絵のお雛様たちや、お道具を切り抜き雛壇に貼り付ける。最後に、お内裏さまの背景に屏風を立てて出来上がりです。

かつては、こんな錦絵柄が千種以上もあったそうですが、こちらも大正時代を最後にほぼ廃れてしまったもの。「錦絵雛絵」は、「いせ辰」が現代になって作ったオリジナルだそうですが、これすら、売り物は最後の数枚、もうしばらくは刷らない柄なのだそうです。
機械刷りでリーズナブルということもあって「買い占めるか!」と一瞬思いましたが、他の誰かだって欲しいかも。
...と思いなおし、組み立て用と保存用、雛祭りの飾り用に計3枚を購入で我慢しました。

紙一枚のままでも十分に美しく、パーツの配置デザインも凝って千代紙としての存在感も十分にあり、加えて組み立てる面白さまである、バリューの大きいお雛祭り用品ではありませんか!!
お雛祭りにこんなものを贈られた女の子は、ちょっと特別。
そんな風に思える、今年の「ココロの雛市」の戦利品です。
by michiru-hibi1007 | 2011-02-28 15:55 | 年中行事・祭・縁日