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1日1つの「日本的!」な楽しみ


by michiru-hibi1007

桃始笑              乙丑(きのとうし)の日・旧暦2月7日

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今日から、七十二候は「桃始笑」。

桃が始めて笑うと書いて、「ももはじめてさく」と読みますが、なんとまあパッと辺りを明るくするような字面の言葉でしょうか。

写真は、1週間ほど前の雛祭りの日に、夕方店先に売れ残っていた桃の花です。どれも、枝先にまだ固いつぼみを付けるのみのものばかり、花が咲かなければお雛祭りに飾ってもさびしく、他の誰にも選ばれること無く店の片隅にひっそり残っておりました。
少し安く売られていたのを買い求め、じっと飾って置いたら今日花開いたのも嬉しい偶然です。
本来、桃の開花時期は、3月下旬から4月末ぐらい、雛祭り頃に売られているのはもちろんハウス栽培でしょうが、それでもこんな風に開花時期を律儀に守りたがる桃もいるのです。

旧暦時代の桃の節供は、現代ならば4月上旬ごろの行事。
それなら十分桃の花も咲きほころぶはずですが、暦の都合で人工的に開花をせかされる現代の桃はちょっと可愛そうな気もします。

ところで、「桃始笑」の「始」字ですが、「はじめて」ならば、ここでは「初」を使うべきではないかしらと思いませんか?

しかし、実際、七十二候には、はじめてと呼んで「始」と書く言葉がたくさんあります。
「初」は、衣編に刀と書いて、生地に「刀」を入れるという意味を持ちます。布はもう元には戻らない違うカタチに変化する一回きりしかない最初の瞬間の意味。
一方、「始」は、字のルーツを探るまでも無く、スタートして、その後、継続する意味だと私達は感覚的にも知っています。

こう整理すれば、七十二候の「はじめて」は、何かが始まって、それからしばらく続いてゆくという意味で使っている。だから「始」を使うのは当然で、七十二候の言葉は、「さあ、季節はこんな風に変化したよぉ」と教えてくれているのです。

それならば、「笑」と使ったのは?というのはもっとずっと気になります。
春分の候に「桜始開」、小暑の候では「蓮始開」と、別の花には、開くという言葉を使っているにもかかわらず、桃だけ「笑」。
しかし、調べても、こちらはなかなかその答えのしっぽが掴めません。
それでも、しばらく眺めていると、小さなこどもがほっこり笑っているように見えて、こちらも微笑みたくなります。
ああ、そうゆうことなのでしょうか?

七十二候は、立春から初候、次候...とはじまりますが、しばらくは「東風解凍」 東風が氷を解かしたり、「黄鶯睍睆」鶯が鳴いたり、「魚上氷」氷が割れて魚が飛び出、「土脉潤起」土が湿り「霞始靆」霞がたなびき「草木萠動」 草木が芽吹く...。
花の開花は、桃が初めて。
あるいは、そのあたりに謎があるのかもしれません。

 4月ごろに、山梨、長野、福島あたりの桃の産地に足を運べば、これでもかっ!と咲いた桃の花を観賞することも可能ですが、東京の街中で、桃の花を簡単に目にすることが出来ないのがさびしいところ。
節供用に無理やり咲かせた花屋の桃花が姿を消せば、街には、梅、椿に桜はあっても桃はなかなか見つかりません。
どうしても見たければ、葛西臨海公園の庭園や新宿御苑、あとはいづれかの植物園で観賞するほかはありません。
パッと華やかに春の初笑いした桃を近所で見かけてみたいものと思うのですが東京ではかなり贅沢なことのようです。

さて、二十四節気の「啓蟄」が3月6日。そこから、七十二候の割り当ては、5日ごとに、初侯「蟄虫啓戸」=冬蘢りの虫が出て来る、次候「桃始笑」、末候「菜虫化蝶」=青虫が羽化して紋白蝶になるとつづきます。ぐんぐん目に見えて加速して春になってゆく感じの季節の言葉が並びました。

三寒四温で気温が上下しやすい季節でもありますが、気温が低くても太陽が照ってさえいればぽかぽか暖かい。ありがたい季節です。
by michiru-hibi1007 | 2011-03-11 10:57 | 暦あれこれ