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1日1つの「日本的!」な楽しみ


by michiru-hibi1007
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お金のなる木           新月・甲寅(きのえとら)の日・旧暦12月1日

お金のなる木           新月・甲寅(きのえとら)の日・旧暦12月1日_c0205840_12385620.jpg

歳の瀬の縁日の一角で開かれる植木市。
その定番は、万両、千両、南天の鉢に福寿草の苗などなどと、とかく縁起の良さで品揃えされておりますが、案外はずせないのが「お金のなる木」。
寒空のしたなんとなくみな元気がなさそうに見える中、この花ひとつ満開の花を咲かせておりました。
花月(かげつ)あるいは黄金花月(おうごんかげつ)と美しい本名を持つこの花は、ちょっと前の植木市ならその名を使っていたと記憶します。
が、近ごろは、植木のそばにはしっかりと、「金のなる木」あるいは「成金草」と札がつく。
...「ナリキンソウ」って読めばいいんでしょうかね?なんかちょっとあからさますぎまいか。

「お金のなる木」は、案外求めるひとが多いのかあるいは偶然なのか、一回りして戻ってみれば売れたあと。
わがご近所の下町にも、路地裏あたりで丸い多肉植物の葉っぱの鉢や地植えを見かけることも数多く、こうして縁起をかつぎ買われてきたものなのかもしれません。
確か、大きく育ったものは、暮れから正月があけて、寒さが本格化する2月直前ぐらいまでピンクの可憐な花をつぎつぎ咲かせる。
そういえば...と帰る道々、なじみのそれをさっそく探せば、ほらほら、写真のように満開でした。

ちなみにこの木、英語名も「dollar plant」というらしい。
丸い葉っぱがコインに似ているからなんだそうですが、それが、昭和の初期に日本に入ってくるや、ある園芸業者が若い芽に5円玉を通しそのまま成長させて、「どうだい!お金がなってるだろう」...とやったんだそうです。
多肉質の植物の常で、ほんとの花を咲かせるにはけっこう時間がかかり、この種は、5年ぐらいの月日が必要。ほんとの花が咲くまでの間、5円玉なり咲かせておくのも一興かなと思ったんでしょうか。
あるいは、英語名からの連想もあったんでしょうね。

千両、万両しかり、江戸人から平成人まで変わることなく、正月用の樹木は、とかくお金方面に縁起が担かれてゆく傾向があるようですが、これって、一般庶民の性なんでしょうか。
「お金の成る木」は、そんな俗な販売保方法に加え、花の少ない時期に花咲かせる種というのも手伝って、いつしか密かに正月用の植木の仲間入りを果たしたってわけです。

さて、個人的には、たとえば、元旦の朝、初日の出を浴びて花の咲くのを目にしたら、今年は何かいいこと起こるとか...そんな話にしてほしかったなぁと思う次第。

だって、だってね。
この木の花の咲く様子ってば、路地を曲がって偶然のごとくに出くわしたらなら、お金というより、もっとずっと大きな幸運を運んできてくれそうなたたずまいなんですから。

疑うむきは、ためしにご近所にて、このピンクの花を探して眺めていただきたく。
きっと来年、いいことがありますよ。
by michiru-hibi1007 | 2011-12-25 12:37 | 花歳時記